自己表現力コンテスト

自己表現力コンテストとは

自己表現力コンテストは「自分で考える力と考えたことを他者に伝える力を育む」ための取り組みです。昭和54年から始まった「中学校弁論大会」を起源としており、改変を加えながら現在の「自己表現力コンテスト」に至っています。現代では価値観が多様化しています。様々な考え方や生き方にあふれる世の中なので、私たちは「何を拠り所にして生きるべきか」と迷うことが少なくありません。また、異なる価値観を持った者同士での衝突も珍しくありません。このような時代では、確固たる自分を構築した上で、他者と適切にコミュニケーションをとることが必要です。さらに、他者の考えを正確に理解し、異なる考え方も受け入れて昇華させることも求められています。本校では、中学一年から五感を意識しながら身の回りに目を向け、自分の感じたことと向き合う取り組みを行っています。

日頃、当たり前と思っていることからも新たな発見ができる感性を育み、感じたことについて考える機会を増やし、確固たる自分自身を育てるための刺激にしてほしいからです。また、このプログラムは学年が上がるごとに、「社会の中で生きる自分」というものに目を向けられるようになっています。組み立てた自分の考え、ひいては自分自身を他者と共有することで、生きる力が育っていきます。自己表現力コンテストは、広島なぎさの四つの教育目標の達成に直結する取り組みなのです。
自己表現力コンテストを通じて見られる生徒の変化

中学一年の段階では、自分で考え、それを人前で発表することに対して、戸惑う生徒は少なくありません。しかし、回数を重ねるごとに、考えて発表することに慣れていきます。高校一年では新書を読み、自分の選んだ社会問題を題材に小論文を書きます。タブレットで作ったスライドを使い、伝え方に工夫を凝らした発表も行えるようになります。自分で考えることを繰り返すことで思考は深みを増し、他者の発表を聞く中で幅広い考えや表現方法を身につけることができるのです。生徒たちは、社会で生きる準備を徐々に、そして確実に進めています。
自己表現力コンテストの今後について

鶴学園創立者の鶴襄先生は「平和な社会は意見の異なるものが共存するところに生まれる」という言葉を残しています。たいへん先見の明のある言葉です。今後、社会の多様化はいっそう加速していきます。そのような社会に生徒を送り出すうえで、確かな考える力と、他者と共存できる社会性を育むことが、広島なぎさでの教育の使命です。それが生徒の人生を支え、より良い社会の実現に繋がるからです。これからも、多様化する社会を見据えた取り組みを、より洗練させながら続けていきたいと思っています。